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相続に係る法改正のポイント

改正のポイントその3
相続人等関係者間の

公平性の担保

 改正相続法では、相続人等の関係者の間で、できるだけ不公平が生じないよう、共同相続人間の実質的公平を図ることで、相続によるトラブルを未然に防止できるよう取扱いが改定されました。

➀葬儀等の費用として、
預貯金の仮払いが受けられるようになりました。

2019年(令和元年)7月1日施行

 例えば共同相続人の間で遺産分割協議が長引いたために、そのうちの一人が被相続人の葬儀費用を負担せざるをえなくなることは、実質的公平の見地からは相当ではありません。
 そこで、改正相続法は、裁判所の手続により遺産分割前に預貯金の払戻しを認める仮処分の要件を緩和するとともに(新家事事件手続法200条3項)、裁判所の手続を経ないで預貯金の払戻しを認める制度(新909条の2)を新設しました。
 この仮払い制度では、仮払いが必要な理由を求められることもありませんが、葬儀費用や水道光熱費といった生活費の支払、相続債務の弁済などの資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払戻しが受けられる制度として創設されていることから、払戻しできる金額には、一定の上限額が設けられています。
 なお、上限額は、基本的には次の式で計算します。

相続開始時の預貯金債権の額

 (預貯金残高)
    ×
   1/3
    ×
仮払いを求める相続人の法定相続分

※一つの金融機関から仮払いを受けられる上限金額
法務省令によって150万円と規定

★払い戻しを受ける際に必要資料
 改正相続法によって、他の共同相続人の同意がなくても一部(共同相続人の相続分を乗じた額については)単独で払戻しできるようになりました。
 ただ、実際に払い戻しを受けるためには、相続分がはっきりしている必要がありますので、 被相続人と払い戻しを受けたい相続人の戸籍謄本だけでは、法定相続分がどのぐらいの割合なのか分かりません。
 よって、金融機関には、共同相続人の戸籍謄本も必要となる可能性が高いと思われます。
 なお、手続の都度戸籍謄本を揃えるのは、とても面倒ですし、コストもかかりますので、金融機関には、コピーを取らせて原本の返却を求めるか、法務局の法定相続情報証明制度を活用するとよいでしょう。


②相続人以外の者の
 親族による介護等の貢献が
 寄与分として評価されるようになりました

2019年(令和元年)7月1日施行

 これまでは、相続人が被相続人に対する介護等の貢献を行えば寄与分としてその貢献が考慮されるのに対し、相続人に当たらない親族、例えば、義理の父を妻が介護した場合など、その介護の貢献が適切に評価されず、遺産の分配にあずかれないという不公平が生じていました。
 そこで、今回の改正相続法では、特別の寄与の制度(新1050条)が設けられたことによって、お嫁さんなどの介護に対しても寄与分として評価されるようになり、不公平が是正されることになりました。


寄与分とは?
 寄与分とは、被相続人の財産形成に貢献してきた相続人、又は被相続人の療養看護に努めてきた相続人等、被相続人の生前に被相続人に対して何らかの貢献をしてきた相続人と、他の相続人との公平さを図るために設けられた制度のことです。 寄与分がある相続人は、法定相続分プラス相続財産から寄与分の額が上乗せされます。

③特別受益の範囲が明確になりました

2019年(令和元年)7月1日施行

・遺留分算定の基礎となる財産
 【相続開始時の相続財産】
     +
 【贈与した財産の価額】
     -
 【相続債務】 

 この「贈与した財産の価額」として算入される贈与の範囲は、相続人に対する特別受益に該当する贈与として、1年以上前のものであっても全て加算されると解されていました。
 今回の改正相続法では、バランスをとり相続人に対する贈与は、相続開始前10年間に行われた、婚姻もしくは養子縁組のため、または生計の資本として受けた贈与の価額に限って、遺留分の算定に算入することとなりました(新1044条)。
 ※相続人の場合は、相続開始前1年間になされた贈与についても、特別受益に該当するものに限定されることになります

・遺留分を算定するための財産の価額
 (新1043条1項)
【相続開始時の相続財産】
     +
【第三者に相続開始前1年間に贈与した財産の価額】
     +
【相続人に相続開始前10年間に婚姻もしくは養子縁組のためまたは生計の資本として贈与した財産の価額】
     -
【相続債務】

・遺留分侵害額の算定
 (新1046条2項)
【遺留分侵害額】
     =
【遺留分を算定するための財産の額】
     ×
【個別的遺留分の割合】
     -
【遺留分権利者が受けた遺贈または特別受益の額】
     -
【遺留分権利者が相続によって取得すべき財産の額】
     +
【遺留分権利者が承継する相続債務の額】
 
※「遺留分権利者が相続によって取得すべき財産の額」
 寄与分を考慮しない具体的相続分と明確にされました(新1046条2項2号)。


 

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