将来発生するかどうか不確定な事実が発生したときに効力が発生する遺贈を停止条件付遺贈といいます。
停止条件付遺贈の受遺者は、遺言者が死亡したときに条件付きの権利を取得しますが、遺贈の履行を請求できるのは条件が成就した時となります。
例えば、孫が大学に進学したら、孫に300万円を遺贈するという遺言があるとします。
この場合、孫が大学に進学すれば、300万円を受け取ることができますが、大学に進学しなかった場合は、300万円を受け取ることができません。
また、停止条件付遺贈の受遺者が条件成就前に死亡した場合は、遺贈の効力が生じません。
ただし、遺言者が、遺言で別段の意思表示をしている場合は、その意思に従うことになります。
前項でも述べた通り、遺言の効力が発生する前に受遺者が死亡したときも、その遺贈は効力を生じないと規定されています。
遺言は、遺言者の死亡時にその効力が発生するため、遺言の効力発生時に受遺者が存在している必要があるためです。
これを「同時存在の原則」といいます。
受遺者の死亡によって遺贈の効力がなくなったときは、 受遺者が受けるべきであった財産は、 相続人に帰属します。
遺言者は、遺言者の孫A(生年月日)が大学に進学したときは、同人に金300万円を遺贈する。
遺言者は、遺言者の長男Bが遺言者よりも先に、もしくは同時に死亡した場合には、当該財産は孫A(生年月日)の大学進学に関わらず遺言者の孫Aへ遺贈する。