遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その遺贈は効力を生じないと規定されています。
遺言は、遺言者の死亡時にその効力が発生するため、遺言の効力発生時に受遺者が存在している必要があるためです。これを「同時存在の原則」といいます。
よって、受遺者の死亡によって遺贈の効力がなくなったときは、 受遺者が受けるべきであった財産は、 相続人に帰属します。
ただし、遺言に別段の規定があるときは、それに従うことになりますので、遺言を遺す際には、受遺者が先に亡くなった場合にその遺産を誰に遺贈するのか(予備的遺言の必要性)を検討することをお勧めします。
遺贈が一度効力を生じた後に受遺者が死亡したことになるため、受遺者の相続人が受遺者の地位を承継します。
受遺者によって既に遺贈の承認がなされていた場合には、相続人が遺贈された財産を承継します。
受遺者が遺贈の承認、放棄をなさないままに死亡した場合は、受遺者の相続人において、その相続分の範囲で遺贈の放棄、承認をすることができます。
ただし、遺言に別段の規定があるときは、それに従います。
遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、受遺者の死亡後になって、遺言者が改めて遺言を遺すことも考えられますが、その時点で遺言者が意思能力を喪失している可能性も考えられます。
遺言者としては、当初の遺言作成の時点で、遺贈財産について、指定した受遺者以外に承継させるべき者がいる場合は、先に指定した受遺者が遺言者の死亡以前に死亡してしまう事態に備えて、予備的な(第二順位の)受遺者の規定を検討することをお勧めします。
予備的受遺者の規定は、その氏名、生年月日、住所地ないし本籍地で人物を特定した上、遺言者の死亡以前に先順位の受遺者が死亡したときは、遺贈財産を予備的な受遺者に遺贈する旨を記載します。