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遺言の効果⑰共同遺言執行者

⒈遺言執行者を指定すべき理由

 民法に規定される、遺言により『相続人の廃除』と『相続人の認知』を行う場合、その他の法で、遺言により『財団法人の設立』、『信託の設定』がある場合は、遺言執行者の選任は必須となります。

 遺言書による選任がない場合は、家庭裁判所により選任されることとなります。
 また、遺言書に遺言執行者の指定がないと、銀行は銀行所定の書類(一般に「相続届」といいます)に、相続人全員の署名と実印での押印、それに印鑑登録証明書の提出まで要求します。
 法的には遺言があればそのような面倒なことをする必要はないのですが、実務上では要求してきます。このような事態になってしまうと、遺産の払戻しが困難になります。
 具体的には相続人の中に次のような人がいると相続届に署名・押印がもらえなくて遺産の払戻しが暗礁に乗り上げてしまうのです。

・遺言の内容をこころよく思っていない人(遺贈者がいることで、相続額が減るなど)

・海外に居住しているなどで連絡が付きにくい人

・行方不明者

・認知症等で意思能力がない人

・未成年者

・遺産に関心がない

・めんどうくさがり屋の人 

 一方、遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が単独で銀行で手続きを行うことができます。相続人全員から署名・押印などもらう必要はありません。

⒉遺言執行者を複数(共同遺言執行者を)指定する理由

 実際に遺言を執行する時、指定した遺言執行者が場合によっては死亡しているかもしれません。

 そこで、実際の内容通り、適切に遺言が執行されるよう、遺言執行者を2名以上指定することを勧めます1006条(遺言執行者の指定)。

⒊遺言執行者を複数指定した場合の問題点と解決法

 遺言執行者を複数指定した場合、遺言を執行する際に「過半数」で決しなければなりません(民法1017条1項)。

 たとえば、遺言執行者を2名指定した場合は、銀行の払戻し手続きをする際に、2名で行わなければならなくなります。

 実際、これは面倒です。そこで、2名以上指定した場合は、「ただし、遺言執行者は単独で遺言を執行できる」という一文を入れておくことをお勧めします(民法1017条1項ただし書き)。

⒋複数の遺言執行者を指定した際でも、単独で手続き出来るよう配慮した遺言書の記載方法

 「ただし、遺言執行者は単独で遺言を執行できる」

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